◆第6回イスパJPスペイン語文学イベント 「女と動物のままならぬ関係」を語り合いました。
10月1日、第6回イスパJPスペイン語文学イベント 翻訳者トーク宮﨑真紀x村岡直子「女と動物のままならぬ関係-『兎の島』『雌犬』を中心に」を開催しました。スペイン語圏の新しい女性文学の世界が次々と広がるあっという間の2時間でした。約70名という多数のお申込みをいただいたこと、深くお礼申し上げます。今回はオンラインとリアル開催の2方式で行い、10名の方が西千葉のプント本と珈琲まで来てくださいました。
『兎の島』は、11の異なる場所を舞台にしたそれぞれ異なる怖さの短編集。エルビラ・ナバロは知らない土地を訪れたときに抱く不安や恐怖から物語を生み出していると宮﨑さんは紹介し、奇妙でゆがんだ物語に空間性があることを指摘しました。『兎の島』は今月7日に発売になる美しい装丁の本です。
『雌犬』は海辺の寒村で、犬を溺愛する、子どもを持てなかった貧しい女性が主人公。村岡さんは、物語の背景にあるラテンアメリカの貧富の差、暴力が当たり前の社会、人種や階級などを説明し、この容赦のない物語への理解を深めました。
そして、今回はじめての試みとして、日本語とスペイン語で朗読も披露。プントの上野洋子さんによるスペイン語は豊かに響き、スペイン語がわからなくてもお楽しみいただけたことと思います。
このほか、翻訳での苦労、文体の定め方、翻訳家になるまでの道のり、その他気になる作品やこれから訳したい本など、翻訳家宇野和美(イスパJP理事)が聞き手となって、ベテラン翻訳家の宮崎さんと村岡さんならではの対談が続きました。
視聴者の方々からの質問も相次ぎ、アンケートでは「普段は聞けない話だった」「作品が書かれるにいたった作家のバックグラウンドの話が興味深かった」「ホラーは得意ではないが、ホラーによって表現される心理や社会的背景を考えると手にとってみたくなる」など、うれしい感想が続々と。
イスパJPではこれからも世界が注目するスペイン語圏の作家を紹介していきます。まずはこの機会に『雌犬』と『兎の島』を手にとっていただければ幸いです。