2024年第1回「スペイン映画の会」開催報告

2024年度第1回 荻内先生の「スペイン映画の会」を、下記の通り開催しました。

  • 日時:4月28日(日)15:00~18:00
  • 講師:荻内勝之先生 (東京経済大学名誉教授)
  • 作品 : エル・スール (原題:El Sur)
製作: 1983年、日本公開1985年、95分、スペイン・フランス合作
監督・脚本: ビクトル・エリセ
原作: アデライダ・ガルシア・モラレス(エリセ監督の元妻)
出演: オメロ・アントヌッティ(父親アグスティン・イタリアの名優)、ソンソレス・アラング-レン(8歳の  エストレーリャ)、イシアル・ボリャン(15歳のエストレーリャ)、ラファエラ・アパリシア(乳母、ミラグロス)、他。
音楽: エリセ監督選曲のグラナドス(スペイン舞曲集)、ラヴェル(弦楽四重奏曲ヘ長調、シューベルト(弦楽五重奏曲ハ長調、パソ・ドブレ「エン・エル・ムンド」、アルゼンチン・タンゴ「ラ・クンパルシータ」他
受賞歴: 1983年サン・セバスチャン国際映画祭金の貝殻賞(グランプリ)、1983年シカゴ国際映画祭グランプリ、1996年スペイン映画生誕100周年記念の映画製作者と映画評論家による、歴代最高のスペイン映画を決める投票で、第6位にランクイン。
  • 場所:中目黒「ギャラリーあるかぶる」
  • 参加者数:20人(幹事2人含め)
  • 参加費:会員1500円、一般2000円(淹れ立てのコーヒーとお茶、お菓子付き)

スペイン映画の巨匠の一人、ビクトル・エリセの作品は、「ミツバチのささやき」(1973年)、「エル・スール」(1983年)、「マルメロの陽光」(1992年)と、長編ではこの3本のみでしたが、本年2月に同監督の長編新作で集大成と言われる「瞳をとじて」が日本でも封切られ話題となりました。そこで、この寡作の監督の2作目で名作の「エル・スール」を、荻内先生の貴重な解説と共に、改めて鑑賞しました。

シアター型の120インチのスクリーンで美しいスペインの北の村の映像と音響をお楽しみ頂きました。また、荻内先生から、エリセ監督の弟子と言われるホセ・ルイス・クエルダ監督の映画「蝶の舌」の一部も特別に見せて頂きました。

  • 作品内容:スペインの内戦(1936~1939年)の記憶がまだ暗い影を落とす頃。。。1957年秋。娘エストレーリャは父が失踪した朝、父の振り子が枕の下にあったことから、父はもう戻らないことを悟り、その記憶をたどり回想する。内戦の傷を心に負う父、祖父との確執、故郷「エル・スール」南を捨て、北に移り住んだ父、忘れ得ぬ恋人、大きな喪失感や苦悩を持つ父。一方、父が如何に自分を愛おしく思って気にかけてくれていたか、また父の苦悩にも気づく娘、生き生きとした少女の内面、その心の成長も描き出している。こうして娘は「エル・スール」に希望を抱いて旅立つ。

  • 参加者のみなさんに回答いただいたアンケートでは:

今回は非常に映画の内容についての感想が多く、関心の高さが伺え、参考になりました。また、「映画の会」で取り上げて欲しい映画についても、検討して、今後順次、希望を叶えたいです。

☆映画から学ぶスペイン語のテキストに今回の映画がとりあげられていて、以前読んだときは理解に苦しんだが、今回は主人公がベッドの下に隠れ、父親が2階の部屋で杖を叩いてサインを送るシーンが理解できた。次の映画会を楽しみにしている。
☆初めて参加したが、荻内先生の映画及び関連情報の説明が非常に役立った。
☆今回の映画は家のビデオで見ていたが、大画面で画面の美しさを楽しめた。視聴後の先生の話をもう少し長くして欲しい。
☆El sur、南への憧れ、北スペインの風景や時代の雰囲気が伝わる映画で、以前観た時とは違く、感動があり、荻内先生の解説もあり、より理解が深まった。
☆定期的に開催を望む。
☆パソ・ドブレが「蝶の舌」で使われた理由が興味深かった。これからもお勧めの映画を選んで紹介、解説して欲しい。
☆スペインの歴史の説明が大変勉強になった。
☆どんな映画があるかもわからないが、幹事が選んだ映画をしっかり鑑賞したい。
☆映画の選択がよかった。

  • 解散後、自由参加で、荻内先生を囲み2次会を近くのメキシカン・レストランJunkadelicで開催。
    先生を含め、15人の参加がありました。

次回開催予定は、現在、検討中です。

「映画の会」担当:江澤明子 小原京子