執筆者:桜井 悌司(NPO法人イスパJP)
5)出発前に準備すること
留学するためにはといろいろな準備が必要である。すべて用意周到に、可能な限り早い段階で準備を終了することが必要である。
交換留学候補生のためのオリエンテーション by留学担当部
第1回 | 今後の予定について、調書の配布、交流部による訓示、担当者紹介等 |
第2回 | 願書配布、記入の際の注意点説明 |
第3回 | 保険、ビザ取得、パスポート取得について
(旅行会社アーク・スリー・インターナショナル) |
第4回 | 航空券、保険について
(旅行会社アーク・スリー・インターナショナル) |
第5回 | 留学先での履修科目・成績について |
第6回 | 留学中の安全面について |
大学によって異なるが、交換候補生に決まってから5~6回のガイダンスが開催される。
詳細の日程については候補生になった時に連絡される。
アルバイト等の理由での欠席は認められない。
- 留学する大学への入学関係資料の作成・送付
入学出願書類は大学によって異なるが、だいたい以下のとおり。留学候補生オリエンテーションで指示される。
- 入学願書
- 志望動機書(何故その大学で学びたいか)
- 顔写真(2~3枚)
- ホームステイ申込書、なぜホームステイを希望するのかの説明
自己紹介作文
- 健康診断書(医師が記入または署名)
- 教員からの推薦書(2通)
(日ごろから教員と親しくしておき、自分のセールスポイントが何であるかを理解、知ってもらうことが重要)
- パスポートのコピー(帰国時まで有効なもの)
- スペイン語能力テスト(筆記、リスニング)
- 航空券の手配
学校指定の到着日、または、オリエンテーション開始に合わせて個人で航空券を手配する。
(注意点)
- メキシコ→アメリカ合衆国経由でメキシコに入国する場合は、必ず往復航空券を購入すること。たとえ乗り継ぎであっても、アメリカに入国できない。アメリカ入国ESTA申請を行うこと。
- アルゼンチン→往復航空券を購入すること。(日本を出国できない。)
- 大学、国によってプログラムの時期・期間が異なるため、出発時期が異なる。
(出発時期の目安)
大学によって派遣時期が異なるが、関西外国語の場合は、下記の通り。
秋派遣 | 春派遣 | |
メキシコ | 7月末~8月上旬 | 1月上旬 |
エクアドル | 8月上旬 | 1月上旬 |
スペイン | 9月下旬 | – |
ブラジル | 7月 | 1月 |
ポルトガル | 9月上旬 | – |
ドミニカ共和国 | 8月中旬 | – |
アルゼンチン | – | 3月上旬(または2月上旬) |
チリ | 8月中旬(または7月) | 3月(または2月) |
- ビザの取得
ビザとは?:渡航先の国が出す入国許可証
派遣国によって査証申請の時期・期間が異なるので、注意のこと。スペイン語・ポルトガル語圏の学生査証は、旅行会社にて代理申請ができない。そのため「本人申請」または本人が「現地手続き」する必要がある。
交換留学候補生対象の査証オリエンテーション後、留学担当部部担当者からスペイン語・ポルトガル語圏の査証手続きに関する要旨説明を行われるが、ビザ取得は自己の責任において行うものである。手続きの内容、必要書類については各自しっかり確認し、申請に必要な書類を揃えて申請を行うこと。不明な点があれば、各国の在日大使館へ直接問い合わせること。
(参考)
本人申請
- スペイン:本人が東京のスペイン大使館領事部に直接出向く個人申請(出発3ヶ月前に申請、5カ月後に受領。申請料無料(日本国籍の場合))
- メキシコ:本人が東京のメキシコ大使館に出向く個人申請。(出発1ヶ月前に申請、約10日後に受領)
- エクアドル:本人が東京のエクアドル大使館に直接出向く個人申請(申請手数料30,000円程)。
- ブラジル:東京のブラジル大使館に郵送または直接出向く個人申請。
- チリ:本人が東京のチリ大使館に直接出向く個人申請。(申請手数料6,000円程。)
- ビザ発行までの時間やビザ申請料金は、個々に確認のこと。
「現地申請」
- アルゼンチン:本人がアルゼンチン現地で個人申請。(現地大学の指示に従って申請に必要な書類を揃えて申請う。申請には、4万円程かかる)
- ホームステイ先とのコンタクト
本学の交換留学プログラムでは、派遣先大学が管轄する滞在先に滞在することが条件となる(ホームステイか寮)。プログラム開始数ヶ月前~直前にホームステイ先が決定するが、大学によっては、個人情報保護の観点から、住所と名前程度の情報しかもらえない。そのため、ホームステイ先と事前に連絡を取りたい場合、メール化、相手先
の住所に直接問い合わせの手紙を郵便(エアメール)で送ると良い。スペイン語での手紙の書き方は事前に勉強しておくこと。
国や大学によって異なるが、ホームステイ先では、1日2食~3食が付く。週に1回程度の洗濯が付く場合もあり。
★水・電気を大切に使用すること。
特にシャワーでの水の使いすぎ,消灯忘れなどには大いに注意すること。日本人の感覚からすると、この点はうるさく、ホームステイ先から注意される。
- 持参すべきもののリストアップ
→過去に留学した先輩学生に持参すべきものを聞いておく
基本的には、ほとんどのものは留学先で入手・調達できる。また国によって手に入るものと手に入らないものがあるので、留意することが必要である。簡単な日本食、書籍,辞書、常時携帯しているもの等
→旅行の本やネットでも調べられる。
→ホームステイ先に簡単な日本のお土産を用意すると喜ばれる。
→100円ショップでかさばらず手頃なものを買っておくと必ず役に立つ。
- 留学後の受講科目の選択について
・現地での履修については、留学担当部から大学別に説明があるが、受講科目については自分で責任を持って決める。
・多くの大学では現地のガイダンスまたは出発前にオンライン等でレベル分けテストを受験してその結果によって科目選択するようになる。
・受講科目の登録方法でわからないことがあれば、徹底的に大学の事務局に問い合わせること。
- 留学中の心構え
≪成功の鍵≫
「留学を終えたときに自分が何を得ていたい?」
~未来から逆算して行動を~
- 勉学
- 勉強時間を十分に確保する
- 毎日、スペイン語・ポルトガル語で日記を書くようにする=作文力の向上
- 友人をつくってとスペイン語を話す機会を得る=会話力の向上。
- 毎日、本を読む習慣をつける=読解力の向上
- スペイン語の新聞も時折購入し、読んでみると最近の話題についての読解力がついてくる。
- 授業ではできるだけ前の方に座ること。
- わからないことは先生に聞く。わからないことを喜んで教えてくれる友人を必ずつくるようにする。
- 与えられた宿題をこなすだけで満足しない
- 授業中は積極的に発言するように努める、最初は恥ずかしいが慣れると問題なし。辞書に頼るより先生に聞く。
- 旅行について
- 留学は旅行ではないことを念頭に置く。
- 余裕ができれば、周辺の国を旅行することも検討する。
- 計画的な旅行を!
あらかじめ休みの時期を調べておき、勉強にも支障がないように計画する。
時間の使い方、休みの使い方は自分次第。
1分も無駄にしないように、目的を明確にして行動することを心がける。
- 注意すること
- ドラッグには決して手を出さないこと
- 日本人どうしで四六時中集まらないこと
- 危険な所には近づかないこと
- 自分の身は自分で守ること
- 自分の行動には責任を持つこと
- 留学後の勉学・就活
言葉は使用しないと短期間のうちに忘れるものである。帰国後は、スペイン語力・ポルトガル語力をキープするのではなく、向上させることが大切である。留学中に培った学習法を駆使して自分で勉強するのである。以下、語学力向上の方法を下記に紹介する。
- スペイン語・ポルトガル語の勉強時間の確保
毎日、最低1~2時間程度は絶対にスペイン語・ポルトガル語を勉強する。
▽検定に挑戦
目標を立ててDELEやスペイン語検定試験を受け、スペイン語力を向上させる。スペイン語検定は3級、DELEはB2を目標としたい。
▽NHK World News (スペイン語・ポルトガル語)
日本の記事がスペイン語で読むことができ、リスニングもできる。
一般的に社会が要求するスペイン語のレベルは新聞がすらすら読める程度と考えるべき。日本語でも新聞を読む癖はつける。
▽読書
毎月一冊は何かを読み上げるなど決めて多くの文章を読むようにする。
▽日記・文章を書く
留学中に比べて文章を書く量が圧倒的に少なくなる。文章力を維持するため、日頃から書く習慣を維持したい。
▽スペイン語・ポルトガル語のテレビや映画を見る
図書館でスペイン語やポルトガル語の映画を見たり、インターネットでスペイン語のテレビを見たりして、スペイン語を忘れない。CD等聞くことも効果的。
- スペイン語・ポルトガル語で会話する
話す能力のキープは一番難しい。話す習慣をつけておかないと、すぐに能力が低下する。スペイン語を話す留学生と友人になり、頻繁に会話する。
友達同士で会話サークルをつくり、スペイン語を話す環境をつくる。
→自分たちのイニシアテイブで何かを始めるという経験は将来必ず役に立つ。
- イベントに積極的に参加
スペインやラテンアメリカに関わる各種イベントがあれば極力出かける。
例)ラテンビート、ラテンアメリカ映画祭、ブラジル映画祭、
メキシコ・フェスティバル、ブラジル・フェスティバル、ラテンアメリカ・フェステイバル、Cinco de Mayo祭り等
チャンスを逃さない!
- 経験の振り返り
留学中に学んだこと、成長したこと、できなかったこと、自分の知識・能力・情報・経験不足を感じたこと等を整理し、自分の次のステップ・将来に役立てるようにする。
8.就活にいかに取り組むか
周りの人より就職が遅れることを気にする学生も多いが、そのマイナス分を留学に行くことによって得てきたもので補い、プラスにすればいいだけである。留学から帰ってきて早く就活に向けて切り替えられるかが重要になってくる。
「2兎を追う者は1兎をも得ず」
同時に留学と就職の両方に力を入れようと思ってもどちらも中途半端になってしまう。留学中はその時にしかできないことに集中することを第一に考え、バランスを見ながら就活の準備を始めていくことも可能である。
〈留学中にもやれること〉
- 自分は一体何をしたいのか、どのような仕事に従事したいのかを具体的に考えておくこと。
- 自己分析をしておく。目標を明確にする。
- SPI対策はいつからでも始められる。
- 留学中でもネットを使って就職に関する情報集めをする。
- 海外で働きたければ、留学先で人脈を作るのも大事。日系の企業などに興味があれば関係者に知り合える機会をつくる。海外で働くことはそれほど容易なことではない・なぜならビザやワークパーミットが必要とされるからである。
- 友だちと情報交換をする
〈帰国後〉
留学→就活モードへの迅速な切り替えを!
- 企業調査、業界調査の方法、エントリーシート・履歴書の書き方等をキャリアセンターで教わる。
- 就職説明会、企業説明会に積極的に参加。
- 留学を自分のキャリア形成にどのように役たたせるかを整理しておくこと。
- 留学中に努力したこと、得たもの等をまとめて人に伝えられるようにしておく。